「最近の自動車を取り巻く環境と空の産業革命」
2017年2月に大阪商工会議所主催の水素・燃料電池ドイツ・英国ミッションに参加した。ドイツの自動車工業会では2020年にEV車が60車種が登場すること、水素燃料電池機構は、燃料電池の自動車、鉄道、船、航空機など次世代モビリティへの応用を積極的に進めるとのことでした。
もう一つの焦点はドイツe-Volo社の「Volocopter」の開発状況にありました。昨年18個のプロペラで体重百kgもあろうと思われる創業社長を乗せてしっかり飛んだのです。残念ながら直接訪問し話を聞けなかったのですが、知る人ぞ知るところです。ドローンは今ブームになっていて、世界に二千社も生まれています。プロペラを垂直に四つ以上装着して垂直・水平飛行が自在にできるため、カメラ撮影から点検、物の搬送など応用は無数にありますが、私の関心はこの飛行体の有人化、即ち「有人ドローンコプター」です。
残念ながら現状のリチウムイオン電池では二十分しか持たず、これでは乗り物になりません。これを燃料電池とチウムイオン電池あるいはカーボンナノチューブキャパシターを組み合わせて、飛行距離・時間を延ばすシステム即ち「レンジエキスパンダー」を設けます。走行燃料電池は、静かで排出は水のみですから空の飛行には好都合です。先ずは二人乗りで一時間、百km飛行できるものを開発し、大阪万博で世界のドローンコプターが飛び交う実験場を作れたら次世代の空の新産業が生まれるのではないでしょうか。
自動車の世界ではもうじき自動運転が登場します。完全自動運転では、ハンドルも無くなってドライバーが車に安全を預けることも構想されています。実現には、なお紆余曲折があるでしょう。既存の航空管制システムとの整合や法規制をクリアする必要はありますが、Innovation meets Regulation、技術革新は、必ず旧来の規制の壁にぶち当たりながらも、やがてそれを克服するでしょう(明治大学法学科大学院 中村幸二教授)。
案外「有人ドローンコプター」が安全に簡便に速やかに人を運んでくれる日が近いかもしれません。この乗り物は、これまで述べた電気・水素・燃料電池・自動運転の中心に位置づけられ、地上百五十mの更地の空間を飛ぶ新しい三次元モビリティー世界を開拓してくれると思います。大阪で、関西でこうした産業の集積が、世界のモビリティーを一変させる力になれるでしょう。これはまさに新たな「空の産業革命」にるのではないでしょうか。 有志よこの指とまれ!
(2017年4月の冊子記事から抜粋 RIO NET ASIA代表)